コロナの影響により学校・塾・仕事など色々な分野で「オンライン」が普及しましたが、バイナリーオプションも同じように急増しています。
便利になったようにも見えますが、トラブルも並行して増えています。
そこでこの記事では、契約書や返金など相談が多く寄せられている実例と対処法についてご紹介します。
バイナリーオプションのオンラインサロンとは
塾や習い事と同じように取引方法やコツを教わったり取引の助言を受けることで、決められた授業料を支払うというシステムです。
知名度の高いオンラインサロンを例にあげてみます。
料金 | 生徒数 | 内容 | |
---|---|---|---|
はたけ 投資カレッジ |
月980円 | 2400人 | ・週2回の動画配信 ・週1回のLIVE配信 ・参加型セミナー ・解説記事ページ ・悩み相談 |
東城千夏 BINARY LIFE |
入会金98,000円 月14,800円 |
不明 | ・PDF学習コンテンツ ・動画学習コンテンツ ・シグナルアラート ・動画配信 ・生配信ウェビナー |
織田慶 AFC |
198,000円 | 20,000人 | ・月1回の勉強会 ・トレード合宿 ・1Dayセミナー ・LINEサポート ・1時間の電話サポート ・メールサポート ・メンバー専用サイト ・メルマガ配信 ・AFSのツール利用 |
このように、主催者が違っていても内容は似たりよったりです。
はたけさんのように不定期で各都道府県をまわり参加型のセミナーを開催しているケースもあるようですが主要都市に限られています。
気になるのは入会金や参加費です。
高額なサロンの料金を見ると、「これで内容がひどかったらツールを購入した方がマシだった」とも思えそうな金額になっています。
外出せずに自宅でバイナリーオプションの勉強ができるのはメリットです。
しかし、高額であれ少額であれ授業料を支払う必要があるので、内容や口コミなどを必ずチェックして悪質がないかを確認する必要があります。
オンラインサロンの違法性
健全な運営をしていればオンラインサロンに違法性はありません。
ただ、バイナリーオプションの場合は単なる習い事ではなく投資ジャンルになるので、法律に則った運営をしないと違法になるケースもあります。
例えば、SNSでよく見かけるエントリーポイントを配信するサロン。
取引のタイミングを配信しているので、自分で考える手間がありません。
初心者や分析が嫌いな人などが食いついてしまいがちな案件ですが、有料でエントリーポイントを配信するには投資助言業の登録者である必要があります。
金融商品取引法2条8項11号
当事者の一方が相手方に対して有価証券の価値等・金融商品等の価値等の分析に基づく投資判断に関し、口頭、文書(新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもので、不特定多数の者により随時に購入可能なものを除く。)その他の方法により助言を行うことを約し、相手方がそれに対し報酬を支払うことを約する契約(以下「投資顧問契約」という。)を締結し、当該投資顧問契約に基づき、助言を行うことを金融商品取引業(一般に上記行為を行う業種は投資助言業と言われる。)と定め、これを行うためには登録が必要であるとしている(同法29条)。
お金を受け取って取引手法教えつつタイミングを教えたり、取引手法さえ教えずにタイミングだけを教える行為は登録がない人が行うと違法になるのです。
エントリーポイントを教えているバイナリーオプションサロンの場合は、投資助言業の登録があるのかどうかを確認すると違法性がないのか知ることが可能です。
LINEなどの有料配信や販売の違法性
オンラインサロンの中でも特に多いのは、LINEグループへの勧誘です。
LINEの場合も同じようにエントリーポイントを教えてくれるようですが、投資助言業の登録が関係しています。
- 無料で配信:投資助言業の登録は不要
- 有料で配信:投資助言業の登録が必要
LINE形式のバイナリーオプションサロンの場合は、グループに入る前に登録が済ませてあるのかどうかを代表者に確認してみるべきです。
また、最近は「note」というサイトを使っているケースも増えています。
noteはSNSと同じようにバイナリーオプションサロンの勧誘やエントリーポイントを教える代わりに料金を受け取ることもできる場ですが、違法性の判断が難しいのです。
先程ご紹介した金融商品取引法を思い出してください。
その中の一文に「新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもので、不特定多数の者により随時に購入可能なものを除く」とありました。
購入できる人を限定させている場合は登録が必要となり、不特定多数が購入できる場合は法律に該当しない可能性があるようです。
正直なところnoteはまだブラックボックスです。
いくら魅力的なバイナリーオプションサロンがあったとしても、安易に手を出さないことをおすすめしています。
特定商取引法違反が多い傾向がある
加入した経験がある人の口コミやバイナリーオプションサロンの公式サイトを見ていると、ほとんどで契約書が発行されていないようです。
日本では法人でも個人でも基本的に契約書は必要とされています。
オンラインサービスの運営は特定商取引法の通信販売規定の対象となるため、同法の表示規定に対応した利用規約もしくは契約書を用意しなくてはなりません。
オンラインサロンとなると手軽で便利ですが、ユーザーと主催者の意思疎通がうまくいかないこともありトラブルが発生しやすくなっているのです。
だからこそ契約書はとても重要なものになります。
契約書を発行しているバイナリーオプションのセミナーには違法性がある可能性は低いですが、記載が必要と定められている以下の項目が満たされているか見ておく必要があります。
- 契約の成立
- 提供場所と内容
- 契約期間
- 支払い方法
- 支払い遅延の対応
- サービス提供回数
- 著作権
- 秘密保持や個人情報関係
- 効果(サービスの効果を確約していない)
- 契約不適合責任
- 権利の譲渡に関すること
- 中途解約・中途解約の精算
- 禁止事項
- 損害賠償
もちろんバイナリーオプションサロンの内容によっては必要ない項目もあるので、除外されている可能性もありますが基本的に上記の項目が必要とされています。
健全な運営であればトラブルは避けたいはずです。
きちんと法律に則って契約書が発行され、必要事項が明記されていることはかなり強力な判断材料で間違いありません。
オンラインサロンの契約書がなくても解約できる
何も知らずに契約書がないままバイナリーオプションサロンに加入してしまったとします。
トラブルになったり、思っていたサロン内容と違ったなどの場合、契約書がないことで解約ができないと思う人も多いようですが契約書がなかったとしても解約することは可能です。
例としてはたけさんの投資カレッジを見てみましょう。
第10条(退会)
1. ユーザーは、退会を希望する場合は、当社所定の方法により、当社に退会の申出を行うものとします。
なお、ユーザーは、退会により、退会時に保有する本サービスの利用に関する一切の権利(すでに取引が生じているものを除く)を失うものとし、当社に対して何らの請求権も取得しないものとします。2. ユーザーが死亡した時点で、ユーザーは退会したものとみなします。
きちんと解約申請をすればオンラインサロンから抜けることはできます。
基本的に解約フォームから申請を行うのですが、中にはメールで申請をする場合や電話連絡をしなければいけない場合もあるようです。
解約フォームがない時の対処法
稀に、契約書もない・解約フォームもないバイナリーオプションサロンもあります。
そんなときは問い合わせ先が書かれているはずなので、メールまたは電話で連絡をして解約をしたいことを伝えて処理をしてもらいましょう。
たとえ契約書がなくても解約ができないことはありません。
それでも解約ができないときは、月謝の支払いを止めてしまうことが1番手っ取り早い方法です。
口座やクレジットカード・PayPalなど、支払いに使用している関係機関にオンラインサロンからの引き落としができないように手続きをします。
わざと解約を分かりにくくしている悪質なケースもあるので思い立ったら早めに行動して下さい。
オンラインサロンは金融庁も監視している
2020年に金融庁はバイナリーオプションやFXなどの投資助言については認知していて、無登録者には警告を出していることを発表しています。
【注意喚起】#オンラインサロン 等での #株式 の銘柄推奨や、#FX 取引、#バイナリーオプション の投資タイミング等の助言は国の登録がない無登録業者が提供している可能性もあるのでご注意ください。https://t.co/yF9DJKQLbp#投資 #副業 #在宅ワーク #暗号資産
— 金融庁 (@fsa_JAPAN) June 3, 2020
いよいよ悪質なバイナリーオプションサロンの取締が厳しくなってきたわけです。
ただ、警告を出すためには明確に違法であるという実体を掴まなければいけないということで、追いついていないのが現状だと言われています。
そこで、金融庁もトレーダーからの情報提供を呼びかけました。
【情報募集】国の登録を受けずに投資助言等のサービスを行う業者を、インターネットで見かけたりSNS等で勧誘され被害にあった場合は、無登録業者の名称、経営者名、連絡先やサービスの具体的な内容を金融庁までご連絡ください。https://t.co/LjlBa1q5U1#投資 #副業 #在宅ワーク #バイナリー #FX
— 金融庁 (@fsa_JAPAN) June 3, 2020
現状はまだまだ対応が進んでいないようですが、これから情報が集まり悪質なバイナリーオプションサロン撲滅に向けて大きく動いて欲しいといったところです。
金融庁も監視しているので堂々と違法な運営をしているケースは減ってきている感じはあります。
それでもまだたくさん紛れ込んでいるので、オンラインサロンを検討するということはリスクもあるということを覚えておいてください。
トラブルにあった時に相談も可能
今まではバイナリーオプションサロンで何らかの被害やトラブルにあった場合は、消費生活センターに相談するケースがほとんどでした。
しかし、今は金融庁でも相談窓口が開設されているので利用することができます。
消費生活センターは契約書がなくてもあってもあまり動いてくれないという情報もあるので直接金融庁に相談すると早いかもしれません。
電話・FAX・WEB・郵送での相談が可能です。
相談方法 | 連絡先 |
---|---|
電話 | 0570-016811 事前相談は0570-016812 |
FAX | 03-3506-6699 |
WEBサイト | https://www.fsa.go.jp/opinion/ |
郵送 | 〒100-8967 東京都千代田区霞が関3-2-1 中央合同庁舎第7号館 金融庁 金融サービス利用者相談室 |
FAX・WEB・郵送は自分の好きなタイミングで24時間いつでも送ることができますが、電話だけは平日10時~17時までと決まっています。
契約書の有無やオンラインサロンの運営情報・内容など、情報をまとめたうえで相談を始めるようにするとスムーズに進みます。
郵送の場合は送った書類の返送はありません。
重要な証拠となる場合は、原本を送付せずにコピーした物を送ってチェックしてもらいましょう。
警察が動く可能性は50%
もしトラブルが発生した場合、バイナリーオプションサロンが契約書を発行しているか・いないかは関係なく、警察が動く可能性は50%です。
以下のことが明確になっていれば動いてくれることが期待できます。
- 多数の被害者からの相談がきている
- 違法性が高い運営を行っている
ただ、基本的には消費生活センターと同じように「少額訴訟」「民事訴訟」で解決してくださいというスタイルが多いようです。
少額訴訟 ※60万円以下の金銭を求める | 民事訴訟 ※60万円以上の金銭を求める |
|
---|---|---|
弁護士 | 雇わない | 15,000円程度で可能 |
諸費用 | 雇う | 着手金や成功報酬・諸経費が必要 |
ツールの購入などがなくバイナリーオプションサロンの入会金や月謝だけの場合は60万円以下のことも多いはずです。
取り戻したい金額にもよりますが、そこまで損はないと思います。
ただ、弁護士を雇って民事訴訟を起こす場合は経費が高くつくと同時に、バイナリーオプションサロンの落ち度を証明する証拠も必要となります。
証拠としては以下のようなものがあげられます。
- メールやLINEのやり取りの記録
- 通話の録音
- 発行されている場合は契約書
当然、バイナリーオプションサロンの会社名・連絡先・住所などは絶対に必要です。
ちなみに、サロンではありませんがバイナリーオプションのツールの販売に関するトラブルで民事訴訟を起こして返金を受けたケースも確認できています。
契約書はなくても返金を受けられていました。
消費生活センター・金融庁・警察・弁護士など、相談できる場所はいくつかあるので契約書がなくても諦めずに行動を起こしてみましょう。
まとめ
バイナリーオプションのオンラインサロンについて解説しましたが、いかがだったでしょうか?
この記事の内容をまとめると以下の通りです。
- ネットに転がっているような情報を教えているだけ
- 高額ツールの販売が目的
- 違法なバイナリーオプションサロンもある
- 何かあっても返金される可能性が低い
バイナリーオプションで利益をあげたいのなら、人に頼って楽をするよりも自分で努力をして成長していくべきだということが理解できたと思います。